2013年04月21日

坊さんにとって、檀家さんは身体の一部

ここんところ、対僧侶的な記事が多くて、このブログの最初の意図(檀家さんに読んで頂く)からちょっと外れてきました・・・(汗)初心に戻っていきたいと思います。

さて、ちょっと前ですが、私の好きなテレビ番組『プロフェッショナル -仕事の流儀-』がリスタートしました。(でも以前と何も変わっていないような気が・・・)

記念すべき第一回目は、恵比寿にあるロブションのお店、シャトーレストラン ジョエル・ロブションのメートル、宮崎辰(みやざきしん)さんでした。
宮崎さん、長身でイケメン!まだ36歳にも関わらず、サービス世界コンテストで優勝したこともあるそう。

メートル、詳しくはメートル・ド・テルはサービスのプロ。それもただお皿を出すにとどまらず、サプライズのイベントやさりげない接客、お客さんの心に近づく会話や、おもてなしで”最高の時間”を提供するプロ。

実はとても食いしん坊の泰明は、本当に幸運なことにこの”心から感動できる接客”、サービススタッフの方に巡り会ったことがあります。
”良きレストランには良きソワニエ(お客)がいて、良きレストランは良きソワニエを育てる”というような言葉を聞いたことがあります。
レストランは、ただ”食べ物を食べる”以上の場所だと私は思っています。正直、それに見合うほどのレストランは多くはありませんが、だからこそ、こうしたサービスという仕事自体にスポットが当たるのは、良いことかもしれませんね。
(余談ですが、そもそも現在のようにシェフがお皿に盛りつけまでしてお客に提供するのはそんなに古い話ではなく、更に前の時代はサービスの方が切り分け、取り分けをしていたそうです。今以上に、重要で、かつ広範な知識や技術が求められていた時代なのかも)

で、その宮崎さんも全てが順風満帆だった訳ではありません。
現在のレストランにヘッドハンティングされた直後、その重圧から精神的に追い込まれ、体調を崩します。ロブションと言えば、フレンチの神様、そしてこのレストランはミシュラン東京発刊以来、ずっと3つ星を保ち続けています(たしか)
このような環境でプレッシャーと戦いながら仕事をすることの大変さは、想像に難くない。
坊さんにとって、檀家さんは身体の一部

目の前が真っ暗になり、頭から滝のような汗が出る。薬を処方されますが、”全てを捨てて逃げたい”、”電車に飛び込んだら楽になれる”とまで思ったそうです。

しかし、そんな状況を救ってくれたのも、またお客さんでした。

お客さんの「ありがとう。」「また来るよ」の一言が何よりの薬。どんなに体調が悪くてもお客さんの前でなら平気でいられた。そうした中で、気付いたことがあったそうです。それは・・・

「お客さんは自分の身体の一部」「お客さんがいるから、自分は生かされている」

いい言葉だなぁ、と思いました。

僧侶にとっては、檀家さん、或いは有縁の方が「お客」になるのかもしれません。

ずっと前、私は葬儀や法事に明け暮れる毎日がどうして好きになれず、忸怩たる想いがありました。もちろん、葬式仏教と揶揄されることにもです。でも、実際に、葬儀をつとめさせてもらって、お施主様が泣きながら「おつとめしてもらえて良かったです」と言ってくださったり、「ありがたいご葬儀でした」とお褒めの言葉をいただいたり、そうしたことで、ちょっとずつ、自分の考えが変わっていくことに気がつきました。

 ”僧侶のつとめって何だろうか?””葬式ってそもそも何だろう?いつから始まってたんだろう?”、あるいは”僧侶がご遺族にできることは何だろうか?”という原点に立ち返り、考えるきっかけにもなりました。悲しむ人々を目の前に、ほってはおけない、何とかしたい、これが僧侶の慈悲心であり、葬儀の原点なのかもしれません。

さて、曹洞宗の大本山總持寺をお開きになられた瑩山禅師(けいざんぜんじ)という方が、『洞谷記』「尽未来際置文」の中でこのようなことを書かれています。

「仏の言葉に『信仰に篤い檀家がいれば、仏教が滅びることはない』、『檀家を敬うことは、仏にするように(敬い)しなさい』また『仏教の基本である三学(戒定慧)も、みな檀家の力があってはじめて完成されるのである』ともある。
だから僧侶と檀家が、それこそ水と魚のように和合し、同じ家に住む肉親のように、お互いに信頼し合い、仏教をともに敬う気持ちを忘れてはいけない」(原漢文・訳は泰明)


檀家さんと共に在るお寺。これは私の理想でもあります。
このお言葉を胸に、日々進んでいきたいと思います。 合掌。




Posted by 泰明@西光寺 at 15:30
Comments(4)
この記事へのコメント
がんばれ!頑張れ!
あなたの姿が、先々代のお祖父さんを思い出す雰囲気になってきたようです。楽しみ楽しみ…。(^O^)髭の宮本
Posted by 宮本 弘 at 2013年04月21日 15:47
>宮本さん

いつもありがとうございます。コメントありがとうございます。
今の私にはもったいないお言葉を頂戴しました。何よりの励みになります。
祖父のようにはなれませんが、こつこつとやっていきたいと思います。これからもご指導ください。ありがとうございました!!

                泰明 合掌
Posted by 泰明@西光寺 at 2013年04月22日 09:23
昨年、クープ・ジョルジュ・バティスト 宮崎辰チャンピオンにお会いしました。
今年は、西光寺 小原泰明 副住職にお会いして功徳をいただきたいものです。
            清水清
Posted by KiyossigyKiyossigy at 2013年05月21日 13:06
>清水様

コメントありがとうございます!宮崎さんにお会いになられたのですね!!あのお店(ロブション)には、宝くじでも当たらない限り、行けそうにありません(笑)羨ましいです。

是非お目にかかりたく思います。フランスでのお話などもお伺いしたく思います。これからもどうぞ宜しくお願い致します。
                       泰明 合掌
Posted by 泰明@西光寺泰明@西光寺 at 2013年05月22日 11:02
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。