2011年07月11日

あの夜のこと

やはりこれだけは書いておかねばなりますまい。
ドイツ公演、最後を飾ったケルンでの「ロマネスクの夏2011音楽祭」のこと。

前述の通り、ケルン市内に点在するロマネスク様式の教会にて行われたこの音楽祭。今年23年目を迎えるそうですが、年々評判があがり、現在ではチケットのプライスが”前売り>当日券”という逆転現象が起きているとのこと。それくらい、前売りで購入する人が多く、また完売してしまうそうです。そして、チケット代も、通常のコンサート以上に高いそうです。

他の出演者はいずれもヨーロッパ随一と名高い方ばかり(だそうです・・・)中世の教会音楽やら、グレゴリオ何とか、とか(すみません、無知なもので)だから、観客の中にも高名な指揮者とか音楽家がごろごろしているとか。(実際、この公演をご覧になったドイツの音楽家から「どうしてあのような声が出せるのか、不思議だ」と称賛の声をいただいた、と聞きました)

音楽祭のカタログによると、私たちは1日目の二組目22時より、(1部目は近くの教会で20時からのコンサート)に出演しました。

今回のドイツ公演でもっとも緊張しました。何故ならば、ここは完全に古い教会であり、美術館であるからです。美術品がケースもなしにあちこちに展示してあります。ですから、荷物の搬入時も安全のため「美術品から1.5m以上離して置いてください」との指示も。

そうそう、素晴らしい写真があります。同行されたkameno師のブログです。是非ご覧ください。
(一見の価値ありですよ。セッティング風景とかもあります)
http://teishoin.net/blog/004254.html

何で泰明は写真を撮っていないかと言うと、下っ端だからそんな余裕がないのです(笑)

まぁ、半分は冗談ですが、基本的にここは美術館であり、写真撮影禁止。美術館が閉館してから荷物の搬入をして、リハをし(ついでにラジオ局の録音も)、おにぎり(ここでも独日教会の方のご厚意でおにぎり!!)をいただいて、すぐに公演でしたので、写真を撮る余裕がなかったのです。ですから、上記のkameno師の写真は物凄く貴重です。だって本番中に撮影されたショットもあるのですから。


200席のチケットは完売。そして立ち見も続出でしたが、どうやら消防法の関係で入場を断られていた方も100人くらい、と聞いています。

会場の教会の荘厳な雰囲気と、長い歴史を刻んできたものだけが醸す、独特の雰囲気。そして無限に続くかのようなリバーブ。

観衆の中には、涙されていた方もいた、と後で聞きました。

私にとっては、非常に難しい法要でした。なぜなら、私の役はハツ(シンバルみたいな仏具)でして、これは金属音であるがゆえに、この教会では音が響きすぎるから、細心の注意を払って、ごく少量の音量を出せるように、しかもきちんと音が鳴るように気を付けて行わなければならない。まぁとにかく真剣におつとめをしました。

大拍手が教会に響き渡り、無事に終了。ドイツ公演の最後に相応しい、よき法要となりました。


Posted by 泰明@西光寺 at 15:17
Comments(4)
この記事へのコメント
泰明さま
この度はお疲れ様でした。
短い日程の中での長い移動、そして時差等々・・疲れは取れましたか?
それぞれ特色のある会場に臨機応変に対応できるのが龍吟会の強みだと感じました。鼓ハツの音も心に沁みました。
日本とドイツの文化交流という大きな役割も充分果たせたと感じています。
私にとってもよい経験になりました。有難うございました。
Posted by kameno at 2011年07月11日 17:46
>kameno様

今回は、本当にありがとうございました。あれだけのことをお一人でされていて、本当に頭が下がる思いですし、またkamenoさまだからこそできたのではないか、と若い連中でしきりに感謝していました。

また、音声データもありがとうございました。

あ、それから大変失礼ですが、勝手にリンクを貼ってしまいました。ご都合がお悪いようでしたらご一報ください。

本当にお疲れ様でした。ありがとうございました!
Posted by 泰明@西光寺泰明@西光寺 at 2011年07月12日 12:54
>他の出演者はいずれもヨーロッパ随一と名高い方ばかり(だそうです・・・)
 詳しく知っていたら、「(; ´∀`)や、やばい」と怖気づいていたと思います。知らないのが幸いだったでしょう。グレゴリオ聖歌もあったのですか。いいですね。

 残響がかなり残るようで、東京・目白にある東京カテドラルの残響時間約3秒より長いな、と思いました。音を出す人にとって苦労するのは、この残響の効果を考えて、いかに音の出し方を調整するか、なんですよね。演奏者はふつうに演奏していても、聴いている人からするとワケワカメな音になっているというのもあるので、むずかしい。大丈夫でしたか?
Posted by ヒソカ at 2011年07月12日 18:43
>kamenoさま

ありがとうございます★本当に偉大なる一歩でした。私もさまざま勉強させていただきました。リンク先にばっちり私の顔が・・・(笑)



>ヒソカさん

そうそう、おっしゃる通り、「知らぬが仏」です(笑)ドイツ在住の方に「かなり高名な演奏家ばかりです」と言われ、結構プレッシャーでしたもん(笑)

残響は本当に長かったですね。ご指摘の通り、自分では全く分かりません。今回のリハでは、リーダー(メインボーカル役)の方が、会場内をあちこち歩き、実際にどのように聞こえるかチェックしながら音の出し方・立ち位置を決めていきました。

ちなみに、このリーダーの息子さんも同行されたので、リハ中は彼が代役を務めて発声し、立ち位置(どの場所で声を出すかで、ものすごく印象が変わる教会でした)を決定してました。この息子さんがリーダーそっくりの声で、ちょっと笑えるくらいなんです★

まぁでも実際、観衆が着席すると、それだけで残響が変わってきてしまうんですけどね。これも難しい問題です。ただ、まぁ、私たちはそこまでPAのプロではないので、分かりませんが(涙)
Posted by 泰明@西光寺 at 2011年07月13日 09:21
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