2013年02月15日

今日は3つの記念日のひとつ

今日、2月15日は仏教徒にとって非常に重要な3つの日のひとつ、「涅槃会」(ねはんえ)です。

涅槃とは、本来、煩悩を消し去った後の安楽なる状態を言うのですが、これが転じてお釈迦様のご命日とされています。もう少し言えば、ブッダは“死”というものを以て、安楽なることを示されたということで、「涅槃」という言葉が使われています。


(↑これは西光寺所蔵の涅槃図 元図は中国敦煌の莫高窟という仏教遺跡にあるそうです・・・ちなみに莫高窟は、”ばっこうくつ”と読み、世界遺産です)

さて、昨年同様に、今日はせっかくなので、『佛垂般涅槃略説教誡経』を採り上げてみたいと思います。長いタイトルですが、ずばりこれはお釈迦様が亡くなる前に、最後に遺した言葉・教えのお経とされています。
つまりご遺言です。

ちなみに読み方は「ぶっすいはつねはんりゃくせつきょうかいきょう」もしくは「ぶっしはつねはんりゃくせつきょうかいきょう」、略して“遺経”(ゆいきょう)とか、“遺教経”とか言われています。まぁ文字通り「最後に遺されたお経」ということですね。(以下、「遺経」と書きます)

 泰明は個人的にこの「遺経」が非常に気に入っています。西光寺ではお通夜にこのお経をおつとめするので、年に何十回も読むから、ということもありますが、「死の直前」という臨場感あふれる描写と、教えが割と平易で、身に染みる感じがするからです。
それからいくつも”汝等比丘”(なんだちびく、と読む)ではじまるパラグラフがありますが、これは「あなたたち修行者よ」と遺された弟子達に教えを語りかけるシーンで、それが余計にこのお経の現実感と雰囲気を出しています。

実際はとても長いお経なので、この中から一部分だけを書きます。せっかくなので、道元禅師も最後に書かれたという8種の教え八大人覚(はちだいにんがく)です。

汝等比丘当に知るべし、多欲の人は利を求むること多きが故に苦悩もまた多し 少欲の人は無求無欲なれば則ちこの患無し、直爾に少欲すら尚お応に修習すべし。(中略)亦復諸根の為に牽かれず


簡単に訳しますと
「あなたがた修行者たちよ、覚えておきなさい。欲深い人はさらなる利益を求めるために苦悩もまた多いもの。欲をコントロールできる人はいたずらに”もっともっと”と求めることがないので、煩わす心の苦しみがないのです。だから今すぐにでもこれを身につけなさい。(中略)欲をコントロールできる人は、様々な欲望(主に食・性・睡眠・金・名誉)に自分を振り回されることがないのです。」

むか~し、ボーイスカウトのキャンプに行ったときの話です。
心配性な泰明は”あれも要るかもしれん、これもあったら快適だろう”と大きなリュックサックに荷物がパンパン。当然、寝袋から着替え、食料など一切合切を入れるのです。
小学生の時に10kgを超える荷物を背負って歩くのはかなりしんどい。やっとの思いでキャンプ場についても、荷物が多いと「これをなくさないように。あれはここにおいて・・・あれ?どこやったっけ」という始末。

キャンプに入る前に、荷物点検があるのですが、怖いリーダーたち(笑)が、余計なものを持ち込んでいないかどうか、全ての装備をチェックします。その時に、たくさん出てきた荷物を”早く仕舞わないと”と思っていた折り、リーダーが言いました。

「かつて小さなリュックと寝袋だけで来た先輩がいるんだよ。本当に必要なモノだけを見定めて、あとは木の枝や葉、ロープなどで工夫して快適なキャンプをする。これが大事なんだ」と。

心配性な泰明はその時は「無理。これ以上は荷物を削れない」と思っていたのですが、何度も何度もキャンプに行くと、本当に必要なモノ、またそのモノで工夫して使えるモノの”勘所”が分かってきます。

お釈迦様の言う、「少欲」とは「無欲」とイコールではないはずです。むしろ、無欲になろうとするそれもある種の欲望なのですから。
人生をキャンプ生活だとすると(笑)、このボーイスカウトで身にしみたことと、この少欲は大変似通った教えなのかもしれません。
  


Posted by 泰明@西光寺 at 10:08
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2013年02月13日

愛すべき我が街、豊橋

セレンディピティ、という言葉があるのだそうでございます。

ウィキペディアによれば・・・
セレンディピティ(英: serendipity)は、何かを探しているときに、探しているものとは別の価値あるものを見つける能力・才能を指す言葉である。
・・・だそうです。

先日、さるお店のスタッフの方が、独立されてご自分のお店を持たれたと風の噂で聞きました。
そのスタッフの方には過去に何度かお目に掛かったり、要はお世話になった訳ですが、何となく、その方のお店ならきっと落ち着いた感じのすてきな雰囲気であろうなぁ、と直感がしました。

ただ、個人でされているのでネットで検索しても全然ヒットせずに、お店の場所とか営業時間とかが不明で、探し出すのにちょっと難儀をしました。(しかも最近できたばかり)

で、実は最初に見つけたのはその店のサイトではなく、そのお店を作った方のサイト。(”作った”というのはホントに作った=トンカンやったってことです。)

そしてこれが果たせるかな、前述の”きっと落ち着いた感じのすてきな雰囲気であろうなぁ”がまさにドンピシャ(死語でしょうか?)であったのであります。

http://www4.atword.jp/ajioka/2012/11/06/%e5%80%8b%e5%b1%95%e3%82%aa%e3%83%bc%e3%83%97%e3%83%8b%e3%83%b3%e3%82%b0%e3%81%a8wine-cafe-%e5%a4%8f%e7%9b%ae%e3%81%ae%e3%81%8a%e6%8a%ab%e9%9c%b2%e7%9b%ae/
(ちょっと勝手にリンクさせて貰いました・・・すみません)

そりゃそうでしょう。まぁ、ご存知の方はご存知ですよね。非常に高名な(豊橋以外では)デザイナー、味岡伸太郎氏であります。

私の叔母が師事していたということもあり、むか~し昔、中学生の分際でサンセリテにも個展を拝見しに行ったり。そう言えば昨年は酉の市にもお越し下さったり、何かとご縁があります。不朽の名作フォント「良寛」は、私の尊敬してやまない良寛和尚の良寛であります。

で、ここまでなら「豊橋って狭いね」で済むんですが、味岡さんのブログ最後の段。ここがとても胸に突き刺さります。”何を若造が”と言われますが、やっぱりそう思います。

何故そのように思うのかと申しますと、10日ほど前に酉の市の会議にて、お初目に掛かった方が同じ事を仰っていました。

あんまり詳しく書くと、どなただか分かってしまいますが、兎に角、豊橋市の歴史や文化、財界に精通され、年齢も味岡さんと同じ頃(だと思う)、思慮深く、さる法人の長をされております。(これなら分かりませんよね)私はその飾らないお人柄にいっぺんに心酔してしまったのでした。

ちなみにその方が言われるには、「今までの豊橋人は周りを見ようとせず、同時に自分たち自身のこともよく分かっていない。また頑迷で保守的な一部のグループのみが牛耳ってきた。その結果が今の豊橋だ。
だが、そうした空気が徐々に薄らいでいる。今こそ君たちのような者の出番だ。その為に力を貸したい」との事。大変心強く、有り難いお言葉を頂戴したのでした。

「結局、グローバルだの、いやこれからはグローカルだのと言って、浮き足だっているだけではないか。
 違う社会に、違う場所に、違う国に”どこにもない理想郷”を求めてフワフワ勝手に夢を見て、比して自分のいるこの足下を見ようともせずに悶々としているだけではないか。
 本当にこの土地で生きていくこと、それは好むと好まざるとに関わらず”受け入れる”ことが分かっているのか?分かっているのなら、せめてこの土地を愛する努力(たとえ愛せなくても)をしよう。この土地はどんな所か、気候や文化や郷土史を学ぼう。その上で、この町のために何かしよう」こんな風に言われている気がしました。

・・・で、えっと、ここまで書いて、何を書きたかったのかすっ飛んでしまいました・・・。ごめんなさい。また今度。  


Posted by 泰明@西光寺 at 13:19
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2013年02月12日

連休明けの出勤日には必ず見ましょう。

ちょっと指向を変えまして、くだらないネタです。
私の弟が偶然見つけたpeeping lifeというアニメ。とってもユルくて癒されます。有名なんですか?これ?
Golden Eggsがお好きな方はオススメ!



こっちもすてきです。


さ、明日もがんばりましょ!  


Posted by 泰明@西光寺 at 20:45
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2013年02月12日

絶対面白い!プチ・キッザニア(こども調剤薬局)

facebookでは先にアップしましたが、とても意義あることだと思うので、こっちでもアップします。

私泰明の幼稚園、小中髙の同級生(幼稚園から高校まで同じなのは多分彼だけ)である、佐藤薬局のたかゆき君が、こんなすてきなイベントをしたそうです。
http://satoupharmacy.dosugoi.net/e475847.html
題して『第1回 こども調剤薬局体験 in 佐藤薬局』です。
詳細は記事をご覧頂きたいのですが、実際の調剤薬局のお仕事を、小さなお子さんに体験してもらうというモノ。お薬が全部お菓子っていうのも、彼の遊び心ですかね。子どもは喜ぶだろうなぁ。

私個人的に(まぁ、友達っていうひいき目はご容赦頂いて)とても意義のあるイベントだったと思います。

何故ならば、おそらくこのプランからして手作りだろうということ。(その過程も記事にされていますね)
つまりは”子どもの喜び・学び”を第一に考えて”お菓子で調剤”とか”監査・服薬指導”を設定したと思うんですよね。これって、とても大事。

残念ながら、本物のキッザニアに行ったことはないですが、おそらく、そこよりもずっと良いんじゃないかと思えます。だって、本物感が全然違うしね。

「それだったら、職業体験学習があるじゃん」と突っ込まれそうですが・・・まぁ、自分も筆屋さんとかにお邪魔したことはあります。でもそれはあくまで職業体験であって、対象年齢とか、想定されるゲーム感(これはそもそもない)とか違うんですよね。あと、悪い意味じゃなくて「子ども目線」でのデチューンはおそらくしてないですもんね。(これは決して職業体験学習を受け入れられている職場の方への批判ではありません!)

そうした意味で、たかゆき君のプランニングには本当に尊敬します。
それに、こうした”手作りプランだけど、限りなく本物”というイベントが、豊橋やどすごいエリアの他のお店、例えば飲食店だったりお花屋さんだったりに”飛び火”したら、子どものためにすごく良いと思います。

もっといえば、それを「ここにこ」で採り上げて貰って、例えば”子どもおしごとキャラバン”みたいな感じで、5~8カ所くらいのお店(業種)で、順々に体験できるようにするとか。毎日行けるわけじゃないだろうし、定休日の都合もあるだろうから、夏休みの間、1週間とか期間を決めて自由に行ける、みたいな。
そうなったら西光寺も手をあげようかな。

「長廊下ぞうきん掛け」体験とかで(笑)  


Posted by 泰明@西光寺 at 18:16
Comments(0)豊橋の民
 

2013年02月09日

笑う門には福来たる  -落語と大般若祈祷会-

あらら、また時間が空いてしまいました。

先日を振り返って。

2月4日、この日は立春。西光寺では、毎年この日に「大般若祈祷会(だいはんにゃきとうえ)」を行います。

これは、檀家さま皆さまの一年の無事、無病息災などをお祈りするというもの。
特に、600巻(巻、と書いてありますが、実際は巻物ではなく、蛇腹折り)の大般若経典をパラパラとめくり(=転読、てんどく、と言います)その功徳をもって、無事を祈るというものです。

この日はちょっと天候が悪く、そして寒かったのでお参りの方は平年より若干少ないかな、といった感じでした。お参り頂いた方にはお足元のお悪い中をお出かけ頂き、感謝しております。

さて、今年は初めて法要後に”落語寄席”をしました。

この前日に、昨年NHKで放送された「落語deブッダ」の録画を再見していたのですが、改めて気付いたことに、古典落語”書き割り盗人”が仏教の謂う”空”の思想を現しているのだとか。

「さすが釈先生!」と思いつつ、今回の法要にびったりじゃん!と、にんまり。
 大般若経典(=空の思想を説く)と落語会とのマッチングとタイミングの良さに内心ほくほくしながら、翌日の法話ネタにしたのでした(笑)



で、この日は豊橋天狗連より鶴橋減滅渡(つるはしへるめっと)さんをお迎えしての高座。

「・・・あれ、この話どこかで聞いたことがある!」と思ったら果たして「崇徳院」という古典でした。(泰明は勉強不足でタイトルまでは分かりませんでした)さすがにセミプロの呼び声高い減滅渡さん、素晴らしかったです。

古典のおもしろさって、素人の私にはよく分かりませんが、多分「同じ話でも噺家によって切り口が違う」ところにあるのではないでしょうか?
たとえは違うかもしれませんが、クラシックに於けるコンダクターみたいな(違うか・・・)
或いは、名曲のカバーとかも。
メロディ(ストーリー)は知っていても、その方の個性やカラーがしっかり反映される所に、職人芸たる良さがにじみ出るのではないでしょうか。


あ、そうそう、泰明個人的には桂枝雀さんが好きなんですが、ネット情報に依ると「枝雀さんが好きな人は、たいてい心が病んでいる」そうな。そういえば私のギターの先生も「見ていて重くなる」って仰ってたっけ。

とほほ・・・。
  


Posted by 泰明@西光寺 at 14:56
Comments(0)お寺のこと