2012年04月05日
社員に良い会社
先週、3月31日付のbe(朝日新聞土曜版)の一面記事「フロントランナー」より。
今回は、日本の会社の99%を占める中小企業をフィールドワークしてきた法政大学大学院教授 坂本光司さんのインタビューでした。フィールドワークしてきた会社は6000社!!!この実行力、尋常ではありません。
さて、以下記事を抜粋します。
___________
よい会社とは何か?そのものさしを変えるべきだ-――
自ら訪ね歩いた会社の情報をもとにした著作『日本でいちばん大切にしたい会社』が売れている。
取り上げているのは、世界に誇る技術を持った町工場でも、大ヒット商品を生み出した会社でもない。安定した業績を上げながら、「徹底的に人を大切にする経営」を実践している会社ばかりだ。
根底には「『正しい経営』をしている会社に光をあてたい」という思いがある。
「正しさ」の基準はシンプル。会社に関わる「5人」を重視する経営だという。社員とその家族、外注先・下請け企業、顧客、地域社会、最後に株主。この優先順位にこそ意味がある、と強調する。
「顧客のことを考えるより、社員の幸せを真っ先に考えるのが経営者の仕事」と言い切る。
「社員第一主義なんてきれいごと」という声には、こう反論する。
「社員を大切にしている会社はどこも好業績です。私が語っていることは、理想でも理論でもない。この目で見てきた現実なのです」
・・・・・・・
坂本氏)私が提唱している「正しい経営」とは、人を犠牲にしない、路頭に迷わせないという経営です。
質問者)といっても業績を気にしないわけにはいかない。
坂本氏)業績や利益を軸に経営を考えるから、おかしくなるんです。業績ではなく、社員の幸せを軸に考えるべきです。
質問者)でも、それでやっていけるんでしょうか?
坂本氏) 私が回った6600社の会社のうち1割は、好況でも不況でも快進撃なんです。その会社のヒアリングをすると、共通項は社員を大切にする「人本主義」を貫いていると言うことです。業績を高めたいと意図して、達成した好業績ではない。
自分の所属する組織に不満や不信感を持っている人間が、お客さんにニコニコ顔で対応できるでしょうか?
自分が虫けらのように扱われていながら、その経営者や上司のために一生懸命働こうと思う人は、そうはいません。
新興国に価格競争で勝てるはずがない。価格以外で勝負するしかありません。
円高のために国内の工場を閉鎖して、人件費の安い海外で生き延びようとしている会社も多い。あたなは、いったい何のために経営をしているのですか、と言いたくなる。
・・・・・
_____________________

いろいろと、面白い点がちりばめられていますね。
「社員とその家族、外注先・下請け企業、顧客、地域社会、最後に株主。この優先順位にこそ意味がある、と強調する。」これを、お寺にひきあてて考えてみると・・・
「(住職は)、お寺に所属する僧侶(本来は修行僧)とその家族、縁のあるお寺、檀家、地域社会。(株主はない)」となりましょうか。
正直、ちょっと無理のある比定であるのは否めません。別に無理にお寺に喩える必要もないかもしれませんが、少なくとも、“社員”を強引に“檀家”にすると・・・
おぉ、見えてくる図式がありますね。特に後半の“自分の所属する組織に不満や不信感を持っている人間が、お客さんにニコニコ顔で対応できるでしょうか?”とは、得心しました。
檀家さんは、イコールお客でも、イコール社員でもないのですが、少なくとも、自分のお寺への不満や不信感(もっとたちが悪いのは“無関心”)を抱きながら、仏教を信仰し、実践する、つまり“仏教的によく生きる”ことは不可能だ、と見えます。この点、私は重々考えていかなければならない、と思います。
そう言っておきながら、前々から言っているように、お寺はサービス業とイコールではありません。僧侶は”仏道を行じる”ことが本分であります。
このバランスがホントに難しい。
次回に続きます。
今回は、日本の会社の99%を占める中小企業をフィールドワークしてきた法政大学大学院教授 坂本光司さんのインタビューでした。フィールドワークしてきた会社は6000社!!!この実行力、尋常ではありません。
さて、以下記事を抜粋します。
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よい会社とは何か?そのものさしを変えるべきだ-――
自ら訪ね歩いた会社の情報をもとにした著作『日本でいちばん大切にしたい会社』が売れている。
取り上げているのは、世界に誇る技術を持った町工場でも、大ヒット商品を生み出した会社でもない。安定した業績を上げながら、「徹底的に人を大切にする経営」を実践している会社ばかりだ。
根底には「『正しい経営』をしている会社に光をあてたい」という思いがある。
「正しさ」の基準はシンプル。会社に関わる「5人」を重視する経営だという。社員とその家族、外注先・下請け企業、顧客、地域社会、最後に株主。この優先順位にこそ意味がある、と強調する。
「顧客のことを考えるより、社員の幸せを真っ先に考えるのが経営者の仕事」と言い切る。
「社員第一主義なんてきれいごと」という声には、こう反論する。
「社員を大切にしている会社はどこも好業績です。私が語っていることは、理想でも理論でもない。この目で見てきた現実なのです」
・・・・・・・
坂本氏)私が提唱している「正しい経営」とは、人を犠牲にしない、路頭に迷わせないという経営です。
質問者)といっても業績を気にしないわけにはいかない。
坂本氏)業績や利益を軸に経営を考えるから、おかしくなるんです。業績ではなく、社員の幸せを軸に考えるべきです。
質問者)でも、それでやっていけるんでしょうか?
坂本氏) 私が回った6600社の会社のうち1割は、好況でも不況でも快進撃なんです。その会社のヒアリングをすると、共通項は社員を大切にする「人本主義」を貫いていると言うことです。業績を高めたいと意図して、達成した好業績ではない。
自分の所属する組織に不満や不信感を持っている人間が、お客さんにニコニコ顔で対応できるでしょうか?
自分が虫けらのように扱われていながら、その経営者や上司のために一生懸命働こうと思う人は、そうはいません。
新興国に価格競争で勝てるはずがない。価格以外で勝負するしかありません。
円高のために国内の工場を閉鎖して、人件費の安い海外で生き延びようとしている会社も多い。あたなは、いったい何のために経営をしているのですか、と言いたくなる。
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いろいろと、面白い点がちりばめられていますね。
「社員とその家族、外注先・下請け企業、顧客、地域社会、最後に株主。この優先順位にこそ意味がある、と強調する。」これを、お寺にひきあてて考えてみると・・・
「(住職は)、お寺に所属する僧侶(本来は修行僧)とその家族、縁のあるお寺、檀家、地域社会。(株主はない)」となりましょうか。
正直、ちょっと無理のある比定であるのは否めません。別に無理にお寺に喩える必要もないかもしれませんが、少なくとも、“社員”を強引に“檀家”にすると・・・
おぉ、見えてくる図式がありますね。特に後半の“自分の所属する組織に不満や不信感を持っている人間が、お客さんにニコニコ顔で対応できるでしょうか?”とは、得心しました。
檀家さんは、イコールお客でも、イコール社員でもないのですが、少なくとも、自分のお寺への不満や不信感(もっとたちが悪いのは“無関心”)を抱きながら、仏教を信仰し、実践する、つまり“仏教的によく生きる”ことは不可能だ、と見えます。この点、私は重々考えていかなければならない、と思います。
そう言っておきながら、前々から言っているように、お寺はサービス業とイコールではありません。僧侶は”仏道を行じる”ことが本分であります。
このバランスがホントに難しい。
次回に続きます。